お手軽という愚

復活のイデオンならぬインフルから復活した宮脇です。今回のインフルはマジでヤバかったわ。最近は優れた薬が出てきたんで簡単に考えてたけど全然効かねえんでやんの。痛みはひかねえ、熱は下がらねえ、肺は痛えはでそりゃあもうあんた大変です。お陰で今でも肺炎じゃねえかと思うくらい肺が辛いよ。

それはともかく、病床で色々考えてたんだけど最近の傾向としてあって、かつ、これはあまり良い流れじゃねえよなと思うことがあるんだ。何だと思う？

俺が思う、それは「お手軽」、分かる？

何て言うんだろう、安い値段に走るのとは違う、もっとマズイと思う傾向がお手軽を求める世の流れ。値段が選択判断における最上位ってのも勿論問題なんだが、このお手軽っていうのがもっと性質が悪りい。分かり易い例えでゲームで話そう。

フルスペックハイビジョン画像でこれでもかと作り込まれたＰＳ３のカーレースゲームとモバゲーで有名な携帯専用ゲームとどちらがメーカーにとってコストが掛かるかといえば勿論ＰＳ３のほうだ。だけどおそらく今の世ではどちらが沢山遊ばれているかというとモバゲーのほうだろう。ゲームクオリティとしては圧倒的な差があるにもかかわわずだ。

何故クオリティの落ちるモバゲーがハイクオリティなＰＳ３よりも遊ばれるかといえば価格ではなくはっきり言えばお手軽感だからだ。価格が選択基準になりえていない証拠に大人はモバゲーをより有利に遊ぶために課金制度で得たレアアイテムをふんだんに使用していることからも明らかだ。

つまりメンドクサイセッティングを要するＰＳ３（実際はそれほど面倒でもないが）よりも、いつでもどこでもお手軽に最低限のクオリティさえあれば遊べるモバゲーのほうが世のトレンドなのだ。

ＡＫＢ４８を見よ。申し訳ないがメンバーの顔を見てもどれもこれもブサイクとは言わないがお世辞にも美人ともかわいいとも思えないが、まあ最低限のクオリティはパスしているか。それよりもいつでも会えるアイドルとして売り出した結果今では日本を代表するアイドルの座を射止めている。このいつでも会えるアイドルというお手軽さがトレンドなのだ。

君たちの周りを見てみるがいい。ファッションひとつとってもお手軽なスタイルで満足してる奴ばかりではないか。本物を見分ける力もなく、まがい物を本物かどうかの区別もつかずただ世のトレンドとして疑問にも思わず受け入れる愚をよしとしてはいないか。

お手軽の怖さはまさに本物を生殺しにしてしまいかねない残酷さだ。本物が本物として生きていくにはそれを見分ける優れた審美眼を持った消費者に恵まれてこそであり、なんとなくそんな風に見えればいいと思っている消費者と、それに乗っかって安易なもの作り思想から生まれた本物の顔をした偽者の提供者で溢れた世では本物は生きていけないのだ。

それとも、本物を支えているという気概を今のデフレに慣れきった若者に求めるのはあまりに酷なのであろうか。いやそんなことはない。男という生き物はけっして妥協しない生き物なはずである。今はまだもう少し眠りから覚めないだけだと俺は思いたい。

ＳＮＡＰ−ＳＨＯＴ！